ジャックラッセルのムギちゃん、3月の10日に16歳になりましたので写真を撮らせてもらいました。

ムギちゃんは、ちょうど1年ほど前に頸が左側に傾いてしまい、眼がまわってしまう症状が出て来院しました。
診断は「前庭疾患」というものになりました。
前庭とは、耳の鼓膜の奥の方にあるところで、平衡感覚を感知するところになります。今、自分たちがまっすぐ立って、まっすぐ歩いているのは平衡感覚が正常に働いていることで可能になっています。
前庭疾患になって平衡感覚が狂ってしまうとどうなるかというと、まっすぐに歩いているつもりでも体が傾いてまっすぐ歩けなくなったりします。
我々人が、回る椅子に座って高速で10回転くらい回った後に立って歩こうとしてもうまく歩けないと思います。前庭疾患はそのときと同じ感覚だと思われます。
前庭疾患の原因としては、外耳炎などの耳のトラブル、脳疾患などがありますが、原因がよくわからないよというものもあります。お歳をとってきたわんちゃんで前庭疾患は多くなってきます。
ムギちゃんもそうだったのですが、前庭疾患になると気持ち悪いのか、吐いてしまい、食欲が落ちてしまいます。
前庭疾患自体で命を落としてしまうということは私自身あまり経験はありません。(脳腫瘍などの脳疾患であれば可能性はあるかもしれませんが。。。)ただし、気持ち悪くて、水も食事もまともにとれなくて衰弱して亡くなってしまったという子は診たことがありました。
前庭疾患になり、頸の傾きとか眼がまわる症状がよくならず、そのまま寝たきりになってしまったという子もいれば、症状が出たのが1日だけで、次の日から傍から見て症状がわからなくなってしまう子様々です。
頸が傾いてしまっても、眼が回る症状が残ったとしても、食事を食べて、水も飲めるようになるとわりと安心です。
ムギちゃんは前庭疾患になった当初はごはんがなかなか食べれなかったり、水分が取れなかったのですが、通院していくうちにだんだん食べれるようになってくれました。


ムギちゃんは左側に少し頭が傾いてしまいます。お歳もとってきて筋肉量が落ちてきてしまったせいか、歩いていても転んでしまったり、壁に激突したりするようになってきているようです。
今日は転んでも大丈夫なように、円形のサークルの話をさせてもらいました。
前庭疾患になると急に立てなくなって眼がまわっている様子があり、とても驚かれる飼い主様が多いのですが、とりあえず一度落ち着いて、病院にご相談をしていただければと思います。
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