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モルモットのモルくんは5歳の男の子です。今日は皮膚の診察で来てもらいました。



ダニの予防薬をつけてもらい、飼い主様がシャンプーで洗浄できるというお話なので、自宅でキレイにしてもらうことにしました。


皮膚がキレイになるといいのですが、改善がなければまた再診に来ていただければと思います。




さてさて、


モルくんが初めて当院に最初に来られたのは、去年の暮でした。


右側の乳腺にできものがあるということで来院しました。


モルくんは男の子です。が、モルモットの場合、男の子でもけっこう乳腺癌ができることがあり、モルくんもおそらくそうだろうということでお話しました。


乳腺腫瘍は原則手術で摘出になります。


モルくんは当時、某小学校にいた子でした。小学生がお世話していたのです。


連れてこられたのは、小学校の先生でした。「モルモットの寿命は5~7歳くらいで、寿命と言えば寿命かもしれない、ただ、面倒をみてくれている小学生たちが手術を希望するのであれば手術をします。もちろん手術はそれで亡くなるリスクを伴います。」という感じでお伝えしたと思います。


私自身、内心、手術を希望しないだろうと思っていました。



しかし、小学生たちは手術を希望されたのです。




けっこう焦りました。まじかと。



得意げにモルモットの病気の説明をしたのはいいものの、あまりモルモットの診察を数をこなしているわけではなければ、手術するとなるとモルくんの手術が私が初めて行うのモルモットの手術でした。


しかも小学校のアイドルじゃないですか。



・・・でも小学生が手術を希望されたのでやるしかない。


直近で、ウェブセミナーでモルモットの乳腺腫瘤の切除の手術の様子の動画を見ていたので、しっかり復習してから手術に臨みました。


モルモット、、、ほかのげっ歯類(ハムスターとかラットとか)だと麻酔をかけるのに吸入麻酔でわりとうまくいってくれることが多いのですが、埼玉で勤務医をしていたときにほかの先生が担当したモルモットの子で吸入麻酔で麻酔をかけようとしたところ、すごく嫌がって口から泡がぶくぶくになってしまい、麻酔を断念していたのを見たことがありました。


なので注射麻酔である程度ぼーっとさせてから、吸入麻酔をかがせて寝かせるのがいいのかなと思います。


また、モルモットは、痛みに敏感らしいので、手術で皮膚を切る部分に対してあらかじめ局所麻酔薬を施しておくと、あまり痛がらなくていいよとのことです。


モルモットの乳腺腫瘍は悪性の可能性が高いので、極力広く切除したいのですが、あまり皮膚を切りすぎてしまうと皮膚がうまく縫い合わせられなくなので気を付けること、、、などなどいろいろ注意しながら手術を行いました。




手術は何とか終わり、麻酔からも覚めてくれました。


しかし、腫瘍の周りをわりと余裕をもって手術で摘出する、つまり正常な組織であろう部分も含めて腫瘍を摘出するのですが、正常な組織の細胞成分を顕微鏡で覗いてみると、そこには腫瘍細胞がいたのです。完全には取り切れていなさそうでした。


「手術をしたのですが、腫瘍が思いのほか悪く、また再発するかもしれませんし、この先この子は長くないかもしれません。。。」と言って、迎えにきてもらった先生にお伝えして、退院していきました。



亡くなっちゃかなぁ、小学生の夢を壊してしまったかなぁ。。。と思いながら過ごしていたら、春先に元気な姿で爪切りに来てくれました。手術したところもキレイになっていましたし、再発のようなものもありませんでいた。モルモットの乳腺腫瘍の場合悪性でも転移していることはあまり多くなく、予後はわりかしいいそうでした。




手術をしてもうすぐ1年経ちますが、手術をトライしてみてよかったです。もう少しモルくんには頑張って生きてもらいたいです。

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